そこで、彼のことを記した冊子を頂いた。改めて、彼の波乱万丈の人生を知った。

彼は地域でも有名な外科医だった。37歳で開業。
朝9時に病院に入ってから口にするのは飲み物だけ。一日平均130人の外来患者を診察し、各種の検査をこなし、手術をし、140人の入院患者の病棟を見回り、棟続きの家に帰るのは夜中の12時を回ってからであった。それから、1日1食の食事が始まる。体重86キロ。一日のエネルギーを一食でとるわけだから、その量のすさまじいこと・・それに、四六時中タバコを離さなかったし、酒は底なし。

医者の不養生を地で行った。忠告する人も多かったらしいが、誰の意見にも耳を貸さなかった。
365日、外出することもなく、昼夜、ただひたすら患者のために働いた。
そして、60代半ばで壮絶な人生を終わった。
思えば、明治維新のころ、そして、我々の父親の時代、そして、われわれの世代・・。
時代とともに薄らいでいったけれど、頭で判断するのではなく、魂の声を聞いていたような気がする。
彼の生き方に共感するところがあるし、彼のような人生を送った何人かの知人の顔も浮かぶ。
人生=波乱万丈 いまはむかし、これが当たり前の時代があった。
人は何のために生きるのか、何が幸せなのか・・・忘れていたことを思い出させるお盆でした。
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